最高裁判所第三小法廷 昭和26年(あ)468号 判決 1952年11月25日
主文
本件各上告を棄却する。
当審における訴訟費用は被告人塚原定市の負担とする。
理由
被告人大堀利男の弁護人勅使河原直三郎、同岩崎光衛の各上告趣意は末尾添附の別紙記載のとおりである。
右弁護人勅使河原直三郎、同岩崎光衛の各上告趣意第一点は、事実誤認の主張で、同第二点は、量刑不当の主張に過ぎないのであり、いずれも刑訴四〇五条の上告適法の理由に当らない。
被告人塚原定市の弁護人田代長の上告趣意は、末尾添附の別紙記載のとおりである。
同上告趣意第一、二点について。
司法警察員に対する被告人の第一回乃至第三回に亘る各供述調書の証拠調については、弁護人から意見なく(一審公判三回二五丁)被告人もまた争わない(同上二六丁)ところであり、その任意性についての抗弁はないのである。だから該各供述調書が仮りに所論のとおり不法逮捕拘禁中に作成されたものであるとしても、その一事をもっては直ちに所論の違法ありとはいえないから論旨は採るを得ない。(昭和二五年(れ)第一〇八五号同年九月二一日第一小法廷判決集四巻九号一七五一頁、昭和二三年(れ)第五七二号同二七年四月一七日第一小法廷判決参照)。
また記録を調べても刑訴四一一条を適用する事由もない。
よって同四〇八条、一八一条に従い、裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 井上 登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 木村善太郎)